Essay1 〜普及する高性能記録メディアとその弊害〜


言わずもがな、ここで言う高性能記録メディアと言うのは、
CD−R/CD−RW、もう一歩進んでDVD−Rのこと。
これらのメディアの普及は、日本だけではなく世界中の
マルチメディアの普及の一端を担っている。
しかし、それによって弊害もまた現れていることも事実だ。
ライトワンス、コピー、バックアップ。
さまざまな言い訳を駆使して、ソフトウェアの違法コピーが
収拾のつかなくなる程、氾濫している事がそれだ。
今や、パソコンを使った事がない人ですら、
CD−Rがどんなものであって、どのように使うのか。
それは周知の事実となりつつある。
CD−Rの違法性のみが一般性を獲得してしまっているのだ。

ちゅーことで。以上を前振りに
第一回のエッセイに入りたいと思います。
あ、そこの人。足崩してお茶でも飲みながら見てくださいな。
別に糾弾しようとかそんなつもりは毛頭ないので(笑

さて。このCD−RやCD−RW、DVD−Rを使ったコピー
(以下、ライトワンスと表記)は
パソコンを使える人はもちろん、パソコンのENTERキーすら叩けない
いわゆる普通の人の間でも普及しつつある。
これはもちろん音楽CD(CD−DA)のコピーが一役買っているわけですな。
そのおかげで、コピーコントロールCD(CCCD)と言われる、
現状の音楽CDの範疇ではない形式のCDも発売されたりと、
音楽販売業界も軽視できずにいるわけですわ。

このライトワンス。元々どの辺りから出てきたのかと言うと、
詳しいことはよくわからないんだけど、89年に太陽誘電が開発したらしいですよ。
(参考:CD-R/RW市場を牽引するヤマハの功績
それから今までの軌跡は置いておくとして。
どうやって普及したか? 問題はそこですわね。

もちろん、音楽CDのライトワンスが普及したというのもありだろうけど、
当時のCD−Rの価格から言うと、
元が取れるかどうかというレベルだったりするわけで。
おまけに、書生の記憶ではCDも8センチが主流の頃だったと思う年代。
それならば、どこでライトワンスが広がっていったのか。
もう、ここに来る懸命な皆さんだったらお分かりだと思います。
ゲームなんですよ。PCゲーム。
で、そのPCゲームのシェアの八割方(以上かな?)が いわゆるエロゲー。
アダルトゲームになるわけです。
つまり、ライトワンスの歴史は、
アダルトゲームなしには語れないものだと書生は思うわけです。

では次に。
ライトワンスとエロゲーが親密な関係にあることは前述しました。
しかし、業界そのものとしては商品が売れずに
作品だけが個人的にであれ流通してしまう。
この状況はどうにかせざるを得ない所であります。
そこで、コンピュータソフトウェア倫理機構と言うものが作られました。
(いや、ライトワンスの為に作られたわけじゃないんだけど、
それはこの際置いておいてね(汗)
この倫理機構、略してソフ倫が大々的にライトワンス廃絶を謳い、
ゲームを開発する会社やソフトハウスもそれに加入して、
後に続いたわけです。
しかし、ライトワンスは一向に減る様子を見せない。
むしろ、増えつづけている。
逮捕者も年に何人かはいるのですが、それぐらいじゃ減るわけもなく。
とうとう、エロゲーはライトワンスがまずありき、
と言う考えをもつほどになってしまうのでしたー。

これが現状です。
コピーガード等を駆使してライトワンスさせないメーカーもあります。
しかし、これはCDドライブとの相性問題を発生させ、
ユーザーには煙たがられています。
ユーザーの声を簡単にあらわせば、
「焼かれたくなかったら焼けないようにしろ。
その代わり相性問題が出るような方法にするな」
なんとも自分勝手な心の声ですね。
しかし、ユーザーと言われる部類の人間達はほとんどが自分勝手です。
ま、こんなところでなに言われても気にしないで下さいね。

ここで私的見解を。
書生は正直、ライトワンスには反対しません。
というか、しても詮無いことだと思ってます。
同時に、ライトワンスは必要悪だと思っています。

どうして必要悪なのか?
これに関してはある逸話を紹介したいと思います。

とある昔、美少女ゲーム系雑誌にあるゲームの体験版が乗りました。
しかし、その体験版は開発側のミスにより、
全編プレイできるものだったのです。
つまり、ただでゲームを提供してしまったわけです。
もちろんユーザーはその無料で全編できるゲームをプレイします。
ところが。そこで本来ならありえない現象が起こったのです。
全編をプレイしたユーザーがそのゲームを買いに走ったのです。
そして、そのゲームを作ったソフトハウスの次回作は大ヒットとなりました。

さて。ここで注目するべき所は、
ユーザーが無料で全編プレイできた、と言う所と、
ソフトハウスの次回作が大ヒットとなった、と言う所です。
このゲーム自体、すごく面白いものでした。
普通に発売されても、かなりの本数を出したと思われます。
しかし、おそらくはそれ以上のセールスを記録してしまったのです。
これはどうしてなのでしょうか?
ヒントはユーザーとゲーム、そしてゲームの値段設定です。
当時も現在も変わらず、
エロゲーの基本設定価格は8800円となっています。
これは慣例としてなので、それより安いものも高いものもあります。
しかし、安いものでも5000円近くの値段になります。
ユーザーとしては、これだけの金額を出すための材料が少ないのです。
その為に体験版やデモなど、
ソフトハウスも出来るだけ提供しようとするのですが、
それでもまだ高い、買い渋りが発生する。
そこで、先ほどの体験版の話になります。
無料でプレイしたユーザーはこのゲームのよさを身を持って知ったのです。
それも、無料と言う限りなくノーリスクの状態で。
そこで、本編をプレイしたにもかかわらず買いに走るユーザーが現れ、
次回作への期待が高まり、大ヒットへと繋がった……と、こうなるのです。

では、話を戻しましょう。
何故ライトワンスが必要悪なのか?
もうおわかりですね。
ライトワンスは、ユーザーが作品に触れる機会を与えている媒体だと考えれば、
悪いことはさておき、有効な情報入手ルートになりえるのです。

しかし、悪いことは悪いことです。犯罪になります。
ここで書生、僭越ながらみなさまに申し上げたい。
ライトワンスをするなとは言わない。
しかし、もしその作品がいいと感じるのならば、購入してください。
そして悪いと感じたならば、それについては触れないで下さい。
書生、常々思っていることがあります。
作品に対しての意見を述べられる人間は、
作品に対しての対価を払った人間だけだ、と言うことです。
対価も払っていないのに意見を述べるのは、卑怯者のすることです。
そんな卑怯者に何を言われても問題ないと思う方々もいるやも知れませんが
製作側はライトワンスかどうかを判断する術などないのです。
ユーザーからの意見は、製作者のポテンシャル、精神状況に激しく関係してきます。
批判を卑怯者から言われてしまって、ポテンシャルを落とす。
それほど馬鹿らしく、また非生産的なことはないのです。
お願いですから、堂々とレビューするなり批評するなりしてください。

書生、渡部好範はライトワンスに関しては何も言いません。
しかし、あくまでそれはライトワンスであって、作品、商品ではありません。
非生産的なスパイラルを作り上げ、
ユーザー様が楽しむ環境を自らの手でなくさないように、
これからも賢くゲームを楽しんでください。

以上。第一回のエッセイを終わります。
ご意見、ご感想などありましたら、
掲示板メールでお伝えいただけますようお願いします。



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